English

ヴィットリア

ヴィットリアはシチリア、ラグーサ地方にあるチェリートマトの産地としてよく知られ、周辺およそ100 kmにも亘る地域がトマト生産農家のヴィニールハウスによって覆い尽くされているのを見る事が出来る。

農業技術の発達によって季節を問わず作物の収穫が可能になり、ヴィットリアでも成功した多くの農家が大規模なハウス栽培を行って、高品質の有機栽培トマト や野菜をここから常時、ヨーロッパ中に出荷している。またそれに伴ってチュニジア人季節労働者たちも年間を通じて働くことが可能になり、その低コストの労 働力が1980年代から90年代を通じて地場産業の発展の一端を支えていった。

この辺りでは連立するヴィニールハウスの間に小さな煉瓦作りの小屋が点在している。牧草地の丘などにあり、マカロニ・ウェスタンでもなじみ深いシチリア特 有の昔ながらの光景だが、今ではトマトを収穫する出稼ぎ労働者たちの住居として使用されていて、いくつもの衛星放送のアンテナが立てられているのを見る事 が出来る。
最近ではチュニジア人労働者たちの多くはプランテーション内のこうした住居を離れて街の一角でアパートを借りて生活している者も多い。
また祖父の代からずっとヴィットリアで暮している者や、チュニジアからの出稼ぎ労働者の斡旋を行っている者もいて、パレルモのフェリーポートでは、新しい 労働者や家族を出迎えているのを見かける事が出来る。

現在では東欧からの出稼ぎ移民もヴィットリアのプランテーションに職を求めて押し寄せている。多くはルーマニア移民だが、ポーランド人、アルメニア人、中 にはウクライナ人等もいる。ヨーロッパ共同体拡大の下、今では東欧からの労働者のほとんどが不法滞在ではなく正規ルートで入国し働く事が可能になってい る。*
一方、プランテーション内でイタリア政府やECの規定する労働基準が守られる事は少ないのが現状だ。例えば移民労働者は一見、合法的に農家と5ヶ月間の季 節労働契約をかわすが、契約期間が切れた後も政府が支給する失業手当をその後3ヶ月間受け取りながら、無給で働く事を前提としていたりする。
また多くの移民労働者がプランテーション内で生活しているため、労働時間の基準等は当然守られることはなく、ハウス内で昼夜を問わず必要に応じて働かされ ている。

労働力を供給する不法な闇市場は、チュニジア移民とルーマニア移民間の仕事の奪い合いによって一層活発化している。街のある広場では、早朝から契約のない 移民労働者が日雇いの職にありつくため、それぞれの人種同士に分かれて、農家のトラックに拾われるのを待っている光景が見られる。
そのすぐそばを、国際流通業者のトレーラーやトラックが、昼夜を問わず往来し、大規模な野菜市場からイタリアでも最も高品質なトマトなどの有機栽培野菜が ヨーロッパ中に出荷されていて、これらのすべてがヴィットリア一帯をひとつの巨大な野菜工場として機能させている。

*2007年、ルーマニア、ブルガリアがEUに加盟、シェンゲン協定のよって国境がこれらの国にも開かれ ている。

フェデリコ・バロネッロ + 古郷卓司
A CANDY FACTORY PROJECT
2009

KITAKYUSHU BIENNIAL 2009 IMIN

VITTORIA
PORTOPALO
HOMI / TOYOTA
武吉知馬 購物中心

NON_SITES